はじめに

訪問マッサージの現場で、高齢者の方々に多く見られる疾患の一つに、脊柱管狭窄症があります。脊柱管狭窄症は、神経の通り道である脊柱管が狭くなることによって、神経の圧迫が起こり、様々な症状が現れます。本記事では、脊柱管狭窄症について、患者さんやそのご家族にわかりやすく説明します。

脊柱管狭窄症とは、脊柱管が狭くなって神経の通り道が圧迫され、神経症状が出現する病気です。脊柱管は、脊椎骨の中にある管状の構造で、脊髄や神経根が通っています。脊柱管が狭くなると、神経に圧迫がかかり、痛みやしびれなどの症状が現れます。

脊柱管狭窄症の症状には、以下のようなものがあります。

・腰痛、坐骨神経痛
・下肢の痺れ、しびれ、痛み
・歩行困難、足がつまずく
・排尿障害、便秘

脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなる部位によって、症状の現れ方が異なります。例えば、腰椎部の脊柱管狭窄症では、腰痛や坐骨神経痛が現れます。また、頸椎部の脊柱管狭窄症では、手足のしびれや痛み、歩行困難などが現れることがあります。

脊柱管狭窄症の原因は、主に以下の3つが考えられます。

・加齢による脊柱の変形
・脊柱の損傷や変性
・ヘルニアや腫瘍などによる圧迫

訪問マッサージは、脊柱管狭窄症による症状の軽減に効果的です。筋肉の緊張をほぐし、血行を改善することで、痛みやしびれの緩和が期待できます。また、運動やストレッチ指導などを行うことで、症状の改善を促すことができます。

ただし、訪問マッサージを行う際には、以下の注意点があります。

・脊柱に直接圧力をかけないようにする
・患部を避け、周辺の筋肉をほぐすようにする
・患部に痛みやしびれがある場合は、そのままの姿勢を維持させないようにする
・症状の程度や原因によっては、マッサージを控える必要がある場合があるので、医師の指示に従うことが必要です。

脊柱管狭窄症の治療法は、患者さんの症状の程度や原因によって異なります。軽度の症状の場合は、自然治癒力を促すために安静やストレッチ運動などの保守的治療が行われることがあります。また、痛みを和らげるための鎮痛剤や消炎剤の処方も行われます。

中等度以上の症状がある場合には、手術が必要になる場合があります。手術の方法は、患者さんの症状によって異なりますが、一般的には以下のような方法があります。

・脊椎融合術：椎骨をつなぐことで、脊柱管の拡張を図る手術です。

・人工椎間板置換術：脊柱管を広げるために、椎間板を人工的に置き換える手術です。

・脊柱管拡張術：脊柱管を広げる手術です。骨を削ったり、骨を移植することで、脊柱管を拡張します。

これらの手術は、一度手術を行うと完治することができますが、手術後のリハビリテーションが必要です。手術後のリハビリテーションには、筋力トレーニングやストレッチ運動、マッサージなどが行われます。手術後には、定期的に診察を受けることが必要です。

私たち訪問マッサージ師の役割は、症状緩和に向けたマッサージやストレッチ、運動指導などを行うことです。
症状に合わせた適切な手技を行い、患者さんの痛みや不快感を和らげ、機能改善を促進することを目的としています。

また、日常生活での姿勢や動作の改善アドバイスや、運動療法の指導なども行います。
患者さんやその家族さんと協力して、より良い健康状態を取り戻すために、全力でサポートしていきます。